Ⅶ 戦車

戦車のカードの教え

心の葛藤を乗り越える

【戦車】はスフィンクスに牽かれた二輪車に乗った若者が描かれています。
しかし勇ましく戦う勇者を意味するのなら、このカードの名は戦士でもよかったはずです。

戦場で戦士は指揮官の命令通りに行動しなければなりません。突っ込めと言われたら、どんな状況でも突っ込まなければなりません。
指揮官が優れた戦略を持っていれば、勝利を手にすることができるでしょう。しかし指揮官が戦略を持っていなければ、犬死にしてしまうかもしれません。

国を守るため、家族や恋人を守るため、そんな根拠の無い大義名分のために、彼は戦場に行かなければなりません。しかし、本当に国や家族や恋人を守るためには戦わなければならないのでしょうか。

【戦車】の真意は葛藤です。

 

絵の解説

白黒二頭のスフィンクスに牽かれた若者が戦場へと向かおうとしています。

あなたは背後のお城から戦場へと出撃しました。しかし今、この先に進むことをためらっています。

二輪車を牽いている白いスフィンクスは

「戦場に行って国のために戦おう!」

と言っています。しかし、黒いスフィンクスからは

「このまま逃げちゃおうよ」

とそそのかされています。
二頭のスフィンクスは別の方向に進もうとしていますから、このままでは前に進めません。戦場に向かうためには黒のスフィンクスをだましながら進むか、邪悪な心の入る余地が無いくらい強い力で突っ走らなくてはなりません。

しかしこの二頭のスフィンクスはあなたの心そのものです。
見えない手綱で二頭のスフィンクスを上手に操り前に進もうとしている姿は、自分の心の葛藤をコントロールして前に進もうとしていることの現れです。
心の不安を覆い隠すために身につけた鎧の左右の肩には、ふたつの表情をした顔が飾られています。あなたの顔も左右で表情が違います。
心の準備もなく突然出撃命令を受けたので、ベルトが曲がったままです。

しかしもう進むしかありません。川を隔ててしまっています。
それに下半身は既に二輪車と一体化してしまっています。
女性に描かれた二頭のスフィンクスはギリシャ地方では戦いにおいて死を見守る存在とされていました。

あなたはもう「戦士」でなく「戦車」なのです。
遠い街並みに置いてきた家族や恋人たちのことを思う気持ちもあるでしょう。また、死を恐れないことが当然とされることへの不安もあるでしょう。
下半身はもう進むしかなく、そこには人間扱いされていないことへの反発心もあるかもしれません。

しかしそれらの葛藤、弱さを隠して突っ込むことを覚悟するでしょう。もうそれしかないのです。
二輪車の前面にある駒が回っている間は、あなたは力強く進み続けるに違いありません。

 

気づきのヒント

正位置

葛藤をコントロールして、とにかく突っ込む。だが、それが本当に正しいのか?
  • 理由や意義は分からなくてもとにかくがんばる。とにかく突っ込む。
  • 自分に弱さがあれば進めていません。準備不足、目的欠如、しかし既に進んでいる以上、いけるところまで行きましょう。きっと何かの気づきを得られます。
  • 目的、大義名分にNOを出していたら全力で進めません。
  • 他にアイディアを出せないのなら、つべこべ言わずにできることをやりましょう。

逆位置

戦略無き突進は玉砕です
  • 自分の心に嘘をついて突き進もうとしていませんか。
  • どんなに無茶苦茶な状態でも玉砕覚悟で突っ込もうとしています。それを本当に望んでいるのでしょうか。
  • 自分がなぜ突っ込もうとしているのか、本当にそうしなくてはならないのか、そこから何が得られるのか、冷静に考える必要があります。
  • 戦略を練る必要があります。戦略がなければ行動力は良い結果を生みません。または、それが得意な協力者が必要です。